お葬式のマナー・基礎知識
法事・法要の食事「お斎(おとき)」の料理決め・マナー・相場をまとめて解説
喪主の基礎知識法事のマナー葬儀が終わった後法事・法要の食事「お斎(おとき)」の料理決め・マナー・相場をまとめて解説
故人様が亡くなった後、一定期間ごとに複数回行われる法事・法要の際には、正しい方法でマナーを守って不手際なく進行したいものです。
今回は、数あるマナーの中でも、「お斎(おとき)」と呼ばれる法要の後に行う会食についてピックアップして、詳しく解説していきます。
遺族は法事に来てくださった参列者に、会食においても感謝の意を示したいものですが、お斎の経験がない方にとっては、用意する料理・予算・マナーについて戸惑うことも多いでしょう。
料理内容の決め方や気をつけたいマナー・会食費の相場についてまとめてお伝えします。
目次
1.法事・法要の食事「お斎」と料理内容の決め方
法要では、僧侶に経典を読んでいただき、その最中に遺族や親族が焼香します。読経後、僧侶から法話をいただき、参列者でお斎を行います。
法要と会食を合わせた仏教行事を法事と呼び、通常は葬儀で喪主だった方が法事の施主を行います。
まずは施主が法事を行うにあたって、理解しておきたいお斎の基礎知識をご紹介します。
1-1.故人様を偲ぶ「お斎」とは?
お斎とは、仏教用語の「斎食(さいじき)」に由来し、法要などを行った際の食事という意味を持ちます。お斎は「御斎」とも表記され、参列者への感謝を示すだけでなく、故人様を偲ぶ目的もあります。
お斎を省く場合は、参列者に引き出物に加えて、折詰した料理を持ち帰っていただきましょう。僧侶にも感謝の意を示す場でもあるため、お斎を行わない・お斎に参加されない場合には、「御膳料」を包み、お渡ししましょう。
また、混同されやすい食事に「精進落とし」というものがあります。「精進落とし」は、そもそもは忌日に精進料理を摂っていたのを忌明けに通常の料理に戻すことを指していました。 現在は、主に葬儀の後に振舞われる食事や四十九日までの法要後の食事のことを言います。
ただし、通夜後に提供されるのは「通夜振る舞い」と使い分けられることもあり、宗派によっては通夜・告別式・法要後の会食を総じてお斎と呼ぶこともあることから、 精進落としとお斎は同様の意味で使われている場合も多いようです。
法事は故人様が亡くなった後、一定期間ごとに複数回行われます。中陰法要(忌日法要)と年忌法要があり、逝去してから100日目まで・それ以降と、行われる時期によって分けられています。
特に重要な法要は中陰法要の「初七日」と「四十九日」、年忌法要の「一周忌」と「三回忌」です。一般的にお斎を行うのは「四十九日」「一周忌」「三回忌」の3回の法要と初盆とされています。 明確な決まりはないため、初七日や年忌法要ごとに行うケースもあります。
故人様が逝去後に行うべき法要について、一覧でまとめたものが以下表となります。
名称 | 時期 | 備考 | |
---|---|---|---|
中陰法要 | 初七日 | 7日目 | 僧侶・遺族・親族・知人が参列します。最近では、多くの人に参加してもらうため、お葬式当日に行うケースも増えています。 |
二七日 | 14日目 | 僧侶の読経や焼香も省かれ、遺族のみで執り行われることが通例です。 最近は省略されることが増えています。 |
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三七日 | 21日目 | 同上 | |
四七日 | 28日目 | 同上 | |
五七日 | 35日目 | 同上 | |
六七日 | 42日目 | 同上 | |
四十九日 | 49日目 | 僧侶・遺族・親族・知人が参列します。仏教では、故人様が極楽浄土へ行けるか判決がくだされる日とされています。 この日までに位牌や仏壇を用意しておくのが一般的です。 |
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百箇日(ひゃっか) | 100日目 | 僧侶の読経や焼香も省かれ、遺族のみで執り行われることが通例です。 | |
年忌法要 | 一周忌 | 満1年目 | 僧侶・遺族・親族・知人が参列し、僧侶の読経・焼香に加えお斎も行われます。 |
三回忌 | 満2年目 | 同上 | |
七回忌 | 満6年目 | 遺族と親族で供養を行うのが通例です。 | |
十三回忌 | 満12年目 | 遺族のみで執り行われます。 | |
十七回忌 | 満16年目 | 同上 | |
二十三回忌 | 満22年目 | 最近は省略されることが増えています。 | |
二十七回忌 | 満27年目 | 同上 | |
三十三回忌 | 満32年目 | 遺族と親族で供養を行うのが通例ですが、場合によっては親交が深かった知人が列席することもあります。お斎でもてなすケースもあるようです。 三十三回忌で「弔い上げ」とする場合が大半となります。 |
1-2.お斎の席で出す料理内容の決め方
かつては、お斎のメニューは肉や魚といった動物性の食材を使用しない精進料理が中心でした。しかし現代では、それほど気にされることはなく、料理の内容は多様化しつつあります。
例えば、故人様が好きだった料理や懐石料理・コース料理・仕出し料理・創作料理などが振舞われることもあります。ただし、お祝いのイメージがある鯛や伊勢海老、お蕎麦などの食材は避けましょう。お皿や容器も紅白のものを避ける場合もあります。
お斎を家で行う場合には、参加者や僧侶の接待で何かと忙しくなります。人手が十分でない場合は、料理は負担を軽減するため、手作り料理よりもお弁当・宅配料理の仕出しサービスを依頼するのがおすすめです。
お店に料理を依頼する際には、法事の食事であることを伝えておき、使用する献立や食材について相談しましょう。最近では法事用のメニューを提供する業者や日本料理店もあるため、専門の料理屋を利用するのも安心です。
お斎をホテルやレストラン等で行う場合にも、予約の際に法事の会食であることを伝え、メニューの内容を相談・確認しておきます。 ホテル内には、和洋中それぞれの料理店があるところがありますが、料理の種類に関しては、仏教の行事であることもあり洋食や中華ではなく、和食が無難です。
いずれの方法でも、料理を用意する時は、お店側にしっかりと人数や時間・予算・献立に関して伝えておきましょう。 人数変更はいつまでに行えばいいのかなど、急な対応が迫られたりトラブルが発生した場合に関しても、あらかじめ確認しておくと安心です。
2.「お斎」の知識・気をつけたいマナー
現代では、お斎で肉料理や寿司、お酒が振舞われることも多くなり、マナーに関しても変化しつつあると言えます。
しかし、お斎は今でも故人様を偲ぶ場であることは変わりません。お斎を振る舞う場合・参加する場合には、気をつけたいマナーも存在します。
特に、初めてお斎を主催する・参加する方は服装や食事中のマナーなど、疑問を抱く場面も多いでしょう。故人様や遺族・参加者など列席した人に失礼がないよう、必要な準備と注意点について詳しく解説します。
2-1.服装・食事中のマナー
お斎は法要の後に行われるため、服装は法事の時と同様となります。男性の場合は黒のスーツや略礼装、女性の場合は黒のワンピースもしくはスーツを着用します。 ただし、会食の場でもあるため上着は脱いでも構いません。女性の身に着けるネックレスは、短めで一連のブラックパールのものが無難です。結婚指輪以外の指輪は外し、イヤリングはネックレスに合わせてブラックパールのものを身につけましょう。 ブラックパールがない場合は、通常の白真珠のものでも構いません。
お斎の席順に関しては、僧侶が上座に座り、施主はその隣に座ります。施主以外の遺族・親族は末席に座ります。それ以外の参列者は、施主の指示があればそれに従います。 特に指示がない場合には、参列者のうち年長者や関係性の深い人から上座に座るのが一般的です。
食事中の会話では、「死亡」や「死ぬ前」などの死を意味する直接的な表現は避けます。「ご逝去」や「ご生前」といった言葉に言い換えましょう。また「重ね重ね」や「益々」といった重ね言葉も、不幸が重なるイメージがあるため言わないようにします。
遺族側は、お斎が読経していただいた僧侶や世話役の方など、お世話になった方への感謝の場であることを心得ておきましょう。参列者がリラックスして故人様との思い出を話せるように配慮することが大切です。
2-2.挨拶の後で行う献杯に注意
通常、お斎を始める際には施主が挨拶を行います。挨拶では参列者に参加いただいたお礼を述べて、献杯した後参加者に食事を促します。
献杯で注意したいのが、乾杯ではなく「献杯(けんぱい)」である点です。乾杯の音頭のように勢いよく述べたり大声を出したりすることはマナー違反です。 「献杯」と静かに述べて、参列者と唱和します。乾杯とは違い、杯は打ち合わせず拍手も行いません。
参列者側は騒いだりお酒を飲みすぎたりすることがないように気をつけます。お斎は宴会ではなく、故人様を偲びながら静かに思い出を語る場であることを心得ましょう。
3.お斎の準備と会食費相場について
お斎の準備に関して気になる点が、会食費の金額相場についてです。会食の場所や提供する食事の内容によっても金額が変わりますが、僧侶や参列者に失礼がないよう用意したいものです。
ここからは、お斎を取り行うにあたって必要な準備と、会食費相場について解説します。
3-1.お斎に必要な準備とは?
遺族側は、早めにお斎の会場を選んでおく必要があります。参列者の人数にもよりますが、人数分の料理が揃わないのは絶対に避けたい状況です。
人数は把握したら、まずその規模に合う場所を選びましょう。お斎を行う場所としては、自宅・お寺・葬祭会場・レストランなどが考えられます。
かつては自宅で法要を行い、そのまま自宅で食事が振舞われることが一般的でした。現代でも、参列者の人数が少なければ自宅で行うこともできます。
しかし最近では、葬祭会場やお寺で法要が行われた後に、そのままお斎を行うことが増えています。参列者に移動の手間がなく、遺族の負担も軽くて済みます。
法要を行う場所から移動してお斎を行う場合は、移動時間や駐車場の確保も考えておく必要があります。 人数が多い場合には、お店を貸し切る必要も出てくるため、少なくとも二週間前には場所を決めて予約をしておきましょう。参加人数が決まり次第予約してしまうのがおすすめです。
場所を選ぶ際には、僧侶や参加者に配慮することが重要です。地域のしきたりや参列者の思い・生前の故人様の意向を考慮して会場を選びましょう。
3-2.お斎の会食費の相場について
お斎の費用相場については、地域や提供する料理によって異なりますが、一般的には一人当たり3,000円~5,000円程度に設定するケースが多いようです。 ホテルや懐石料理店となると8,000円〜12,000円ほどの料理を用意する場合もあります。
小規模な法要や親族のみの法要の場合は3,000~5,000円など、少し控えめな金額の仕出し弁当などを用意してもよいでしょう。
僧侶の方がお斎をご遠慮された場合の御膳料は、お布施とは別に5,000円~2,0000円程度を包みましょう。
また、主催者側は引き出物も用意する必要があります。あらかじめお斎の席に置いておくか、お斎がお開きになる時に僧侶・出席者に配ります。引き出物は2,000~5,000円程度の菓子やお茶・タオルなどを用意しましょう。
4.まとめ
法事・法要・お斎に関しては、何度も経験するものではないため、戸惑うことも場面も多くなります。会食費の相場やマナーに関しては、あらかじめ葬祭場のスタッフや経験を持つ親族と相談しておくと、スムーズに事を進められます。
遺族側は参列者に感謝の気持ちを伝えることが大切となるため、お斎の場では、故人様を偲び、思い出話が和やかに話せるような雰囲気づくりが大切です。
参列者側は、故人様・遺族に失礼がないよう、服装やマナーにも気を配りましょう。お斎の場でも遺族・参列者があたたかく故人様をご供養できるよう、話の内容や振る舞いには十分に拝領する必要があります。
今回詳しく解説してきたお斎をはじめ、併せて行われる法要どちらも不手際がないよう、大人としてのマナーをしっかり身に着けておきましょう。
大切なお葬式では、下記5つのプランをご用意しております。
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